忍者ブログ
理系の若者が思ったことを書くブログです。
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

趣味の勉強日記です。

オストワルドの粘度計とは、下記動画で紹介されているガラス器具であり、
Ostwald viscometerともいいます。



この器具は、溶液の粘度測定で幅広く利用されます。
英語で何を言ってるか分からない方のために図を用意しました。
詳細は下記をご覧ください。



はじめに、右側から液体を入れます。注意してほしいのですが、
粘度測定を正確に行うなら恒温槽内で行いましょう。
次にa部にゴム管等をつけて溶液をb部まで吸い上げます。
温度が安定したところで、aを開放し液体を自由落下させます。
その際に液体がbからc部を通過する時間Δtをストップウォッチで測定することで
粘度を導くことが可能になるのです。なぜでしょうか?

はじめに、b部まで液体を吸い上げる際の圧力ΔPを計算しましょう。
このときの圧力変化ΔPは、ニュートンの運動方程式より導くことが可能であり、

ΔP = mg/S = ρgV/S = ρg(S・h)/S = ρgh…(1)
m…吸い上げた液体の質量
g…重力定数
S…bからc部までの平均断面積
V…bからc部の体積
h…bからc部までの高さ
ρ…液体の密度

となります。この流体の運動をハーゲンポアズイユの式で近似すると、

V/Δt = (πR^4/8η)*ΔP/h…(2)
を得ることができます。ここで、Rはb からcまでの容器断面における平均半径とします。(1)を(2)に代入すると、

η=(πρgR^4h)Δt/(8h)=ρAΔt …(3)※A = (πgR^4h)/(8h)であり定数

となり、粘度という物理量は非常にシンプルな関数で表現できました。

ふつう、溶媒の粘度をη0、溶液の粘度をηとして相対的に粘度を求めることが多いです。
なぜかというと、Aを決定しなくて済むからです。
上の式を考えればわかるけれども、溶媒の密度をρ0、落下時間をΔt0、
溶液の密度をρ、落下時間をΔtとすると

η0 = A*ρ0*Δt0 …(4)
η  = A*ρ*Δt …(5)

が導けます。(4)および(5)式からAを消去すると、

η/η0 = (ρ/ρ0)*(Δt/Δt0)…(6)

のような式を得ることができます。このη/η0 を相対粘度といいます。
オストワルドの粘度計は、このような相対粘度の解析に大変すぐれた
装置です。

拍手[25回]

PR
Comment
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
[29]  [28]  [27]  [26]  [25]  [24]  [23]  [22]  [21]  [20]  [19
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
フリーエリア
最新CM
[10/02 武市]
[09/15 朧月]
[09/08 トトロママ]
[08/22 トトロママ]
[08/17 トトロママ]
プロフィール
HN:
No Name Ninja
性別:
非公開
バーコード
ブログ内検索
P R
アクセス解析
カウンター
コガネモチ
忍者ブログ [PR]