理系の若者が思ったことを書くブログです。
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ここでは、100nmのホールからセシウムが流出する質量損失速度を計算してみる。(前回の日記参照)
はじめに、小さな孔の上は真空であるとし、セシウムが十分多量にあることでセシウム蒸気の供給が順次行われるものとする。
※実際は、真空ではない。真空と仮定すると流出量が大きくなることに注意。また、十分な蒸気の供給があるということは、蒸気圧PはdP/dt = 0となり、環境温度に対して一定である。極端な条件であるが、極端な条件よりは実際の質量損失量が小さいので、まずは極端な条件を把握し、どれだけ小さな値になるか理解することが大事である。
この場合のセシウム流出量は、分子運動論によると衝突頻度×面積×原子質量で計算できる。したがって、
Δm/Δt = m*Zw*A0…①
となる。ここで、mはセシウム原子1つの重量、Zwは衝突頻度、A0はホール面積とする。グレアムの流出の法則より、流出速度vは一般的に次式のようになる。
v=A0*Zw = A0*p*NA/(2π*MRT)^0.5 …②
pはセシウムの蒸気圧、NAはアボガドロ定数、Mは原子量、Rは気体定数、Tは環境温度とする。結局、①、②より次式によって流出挙動を考えることができる。
Δm/Δt = (M/NA) * p*NA/(2π*MRT)^0.5 *A0
Δm/Δt = p*A0*(M/(2π*RT))^0.5 …③
このpは、アントワンの式によって記述できる。セシウムのアントワン定数は こちらの日記を参考にしよう。定数をそれぞれ計算すると
p = 10^(8.8394 - 3615.1/(200+259.56)) = 9.396 [Pa]
A0 = (50/10^9)^2*3.141592 = 7.854 × 10^-15 [m2]
M = 0.1329 [kg/mol]
R = 8.314 [J/K/mol]
T = 200+273 = 473[K]
Δm/Δt = 9.396*7.854*10^-15*(0.1329/(2*3.141592*8.314*473))^0.5
Δm/Δt = 1.71 × 10^-16 [kg/s] = 0.17 [ng/s]
つまり、ホールから1秒当たり0.17ナノグラムしかセシウムは流出しえない。
※ナノグラムは1gの1/1,000,000,000です。
Δm/Δt < 0.17 ng/sであるのはいうまでもなく、直径を根拠にバグフィルターから流出するという議論はミスリーディングではないだろうか?
この計算結果は、どう理解すればいいか? つまり、セシウムが二百℃では固体状態で存在するため、蒸気圧が低くなり、100ナノメートルのホールがあっても流出しないのである。
はじめに、小さな孔の上は真空であるとし、セシウムが十分多量にあることでセシウム蒸気の供給が順次行われるものとする。
※実際は、真空ではない。真空と仮定すると流出量が大きくなることに注意。また、十分な蒸気の供給があるということは、蒸気圧PはdP/dt = 0となり、環境温度に対して一定である。極端な条件であるが、極端な条件よりは実際の質量損失量が小さいので、まずは極端な条件を把握し、どれだけ小さな値になるか理解することが大事である。
この場合のセシウム流出量は、分子運動論によると衝突頻度×面積×原子質量で計算できる。したがって、
Δm/Δt = m*Zw*A0…①
となる。ここで、mはセシウム原子1つの重量、Zwは衝突頻度、A0はホール面積とする。グレアムの流出の法則より、流出速度vは一般的に次式のようになる。
v=A0*Zw = A0*p*NA/(2π*MRT)^0.5 …②
pはセシウムの蒸気圧、NAはアボガドロ定数、Mは原子量、Rは気体定数、Tは環境温度とする。結局、①、②より次式によって流出挙動を考えることができる。
Δm/Δt = (M/NA) * p*NA/(2π*MRT)^0.5 *A0
Δm/Δt = p*A0*(M/(2π*RT))^0.5 …③
このpは、アントワンの式によって記述できる。セシウムのアントワン定数は こちらの日記を参考にしよう。定数をそれぞれ計算すると
p = 10^(8.8394 - 3615.1/(200+259.56)) = 9.396 [Pa]
A0 = (50/10^9)^2*3.141592 = 7.854 × 10^-15 [m2]
M = 0.1329 [kg/mol]
R = 8.314 [J/K/mol]
T = 200+273 = 473[K]
Δm/Δt = 9.396*7.854*10^-15*(0.1329/(2*3.141592*8.314*473))^0.5
Δm/Δt = 1.71 × 10^-16 [kg/s] = 0.17 [ng/s]
つまり、ホールから1秒当たり0.17ナノグラムしかセシウムは流出しえない。
※ナノグラムは1gの1/1,000,000,000です。
Δm/Δt < 0.17 ng/sであるのはいうまでもなく、直径を根拠にバグフィルターから流出するという議論はミスリーディングではないだろうか?
この計算結果は、どう理解すればいいか? つまり、セシウムが二百℃では固体状態で存在するため、蒸気圧が低くなり、100ナノメートルのホールがあっても流出しないのである。
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