理系の若者が思ったことを書くブログです。
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前回、溶媒の粘度をη0、溶液の粘度をηとして、
オストワルドの粘度計の原理を示した。
今日は固有粘度について語ろうと思う。
溶液の溶質の濃度をCとすると、実はηとη0の間には、一般的に
η = η0(1+[η]C+[η2]C^2+…)…(1)
が成り立ち、状態方程式をビリアル展開した式に似た近似式が成り立つ。
よって、高分子溶液のようにCが十分に小さい場合、
C^2<<1なので、C^2≒0と近似してよい。この場合、
η = η0(1+[η]C)⇔[η]= {(η-η0)/η0}/C より[η]は次式のようになる。
∴ [η] = Lim{C⇒0} (η/η0 - 1)/C …(2)
このような[η]のことを固有粘度と呼ぶ。
固有粘度は、Huggins Plotというデータ解析で解析することができる。
これは、Cに対して(η/η0-1)/Cをプロットすることで固有粘度を解析する方法である。
例えば、下表にEXCELでポリスチレン-トルエン溶液を用いて
(η/η0-1)/Cを解析した例を記す。

この表に対して、ポリスチレン濃度と計算②をプロットしたものがHuggins Plotであり、
Excelでグラフ化すると図のようになる。

グラフの切片は、Lim{C⇒0} (η/η0 - 1)/Cと同じであり、
固有粘度[η]は、[η]=0.0501となっていることが確認できた。
実験的にはこのようにして固有粘度を求められる。
オストワルドの粘度計の原理を示した。
今日は固有粘度について語ろうと思う。
溶液の溶質の濃度をCとすると、実はηとη0の間には、一般的に
η = η0(1+[η]C+[η2]C^2+…)…(1)
が成り立ち、状態方程式をビリアル展開した式に似た近似式が成り立つ。
よって、高分子溶液のようにCが十分に小さい場合、
C^2<<1なので、C^2≒0と近似してよい。この場合、
η = η0(1+[η]C)⇔[η]= {(η-η0)/η0}/C より[η]は次式のようになる。
∴ [η] = Lim{C⇒0} (η/η0 - 1)/C …(2)
このような[η]のことを固有粘度と呼ぶ。
固有粘度は、Huggins Plotというデータ解析で解析することができる。
これは、Cに対して(η/η0-1)/Cをプロットすることで固有粘度を解析する方法である。
例えば、下表にEXCELでポリスチレン-トルエン溶液を用いて
(η/η0-1)/Cを解析した例を記す。
この表に対して、ポリスチレン濃度と計算②をプロットしたものがHuggins Plotであり、
Excelでグラフ化すると図のようになる。
グラフの切片は、Lim{C⇒0} (η/η0 - 1)/Cと同じであり、
固有粘度[η]は、[η]=0.0501となっていることが確認できた。
実験的にはこのようにして固有粘度を求められる。
趣味の勉強日記です。
オストワルドの粘度計とは、下記動画で紹介されているガラス器具であり、
Ostwald viscometerともいいます。
この器具は、溶液の粘度測定で幅広く利用されます。
英語で何を言ってるか分からない方のために図を用意しました。
詳細は下記をご覧ください。

はじめに、右側から液体を入れます。注意してほしいのですが、
粘度測定を正確に行うなら恒温槽内で行いましょう。
次にa部にゴム管等をつけて溶液をb部まで吸い上げます。
温度が安定したところで、aを開放し液体を自由落下させます。
その際に液体がbからc部を通過する時間Δtをストップウォッチで測定することで
粘度を導くことが可能になるのです。なぜでしょうか?
はじめに、b部まで液体を吸い上げる際の圧力ΔPを計算しましょう。
このときの圧力変化ΔPは、ニュートンの運動方程式より導くことが可能であり、
ΔP = mg/S = ρgV/S = ρg(S・h)/S = ρgh…(1)
m…吸い上げた液体の質量
g…重力定数
S…bからc部までの平均断面積
V…bからc部の体積
h…bからc部までの高さ
ρ…液体の密度
となります。この流体の運動をハーゲンポアズイユの式で近似すると、
V/Δt = (πR^4/8η)*ΔP/h…(2)
を得ることができます。ここで、Rはb からcまでの容器断面における平均半径とします。(1)を(2)に代入すると、
η=(πρgR^4h)Δt/(8h)=ρAΔt …(3)※A = (πgR^4h)/(8h)であり定数
となり、粘度という物理量は非常にシンプルな関数で表現できました。
ふつう、溶媒の粘度をη0、溶液の粘度をηとして相対的に粘度を求めることが多いです。
なぜかというと、Aを決定しなくて済むからです。
上の式を考えればわかるけれども、溶媒の密度をρ0、落下時間をΔt0、
溶液の密度をρ、落下時間をΔtとすると
η0 = A*ρ0*Δt0 …(4)
η = A*ρ*Δt …(5)
が導けます。(4)および(5)式からAを消去すると、
η/η0 = (ρ/ρ0)*(Δt/Δt0)…(6)
のような式を得ることができます。このη/η0 を相対粘度といいます。
オストワルドの粘度計は、このような相対粘度の解析に大変すぐれた
装置です。
オストワルドの粘度計とは、下記動画で紹介されているガラス器具であり、
Ostwald viscometerともいいます。
この器具は、溶液の粘度測定で幅広く利用されます。
英語で何を言ってるか分からない方のために図を用意しました。
詳細は下記をご覧ください。
はじめに、右側から液体を入れます。注意してほしいのですが、
粘度測定を正確に行うなら恒温槽内で行いましょう。
次にa部にゴム管等をつけて溶液をb部まで吸い上げます。
温度が安定したところで、aを開放し液体を自由落下させます。
その際に液体がbからc部を通過する時間Δtをストップウォッチで測定することで
粘度を導くことが可能になるのです。なぜでしょうか?
はじめに、b部まで液体を吸い上げる際の圧力ΔPを計算しましょう。
このときの圧力変化ΔPは、ニュートンの運動方程式より導くことが可能であり、
ΔP = mg/S = ρgV/S = ρg(S・h)/S = ρgh…(1)
m…吸い上げた液体の質量
g…重力定数
S…bからc部までの平均断面積
V…bからc部の体積
h…bからc部までの高さ
ρ…液体の密度
となります。この流体の運動をハーゲンポアズイユの式で近似すると、
V/Δt = (πR^4/8η)*ΔP/h…(2)
を得ることができます。ここで、Rはb からcまでの容器断面における平均半径とします。(1)を(2)に代入すると、
η=(πρgR^4h)Δt/(8h)=ρAΔt …(3)※A = (πgR^4h)/(8h)であり定数
となり、粘度という物理量は非常にシンプルな関数で表現できました。
ふつう、溶媒の粘度をη0、溶液の粘度をηとして相対的に粘度を求めることが多いです。
なぜかというと、Aを決定しなくて済むからです。
上の式を考えればわかるけれども、溶媒の密度をρ0、落下時間をΔt0、
溶液の密度をρ、落下時間をΔtとすると
η0 = A*ρ0*Δt0 …(4)
η = A*ρ*Δt …(5)
が導けます。(4)および(5)式からAを消去すると、
η/η0 = (ρ/ρ0)*(Δt/Δt0)…(6)
のような式を得ることができます。このη/η0 を相対粘度といいます。
オストワルドの粘度計は、このような相対粘度の解析に大変すぐれた
装置です。