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個数N、半減期Tの放射性物質があると仮定する。この物質のBqを計算すると、Bqの定義より次式が成立する。

|dN/dt| = λN = {N0*Log(2)/T}*(1/2)^(t/T)…(1)

またf(T) = 1/T,
g(T) = (1/2)^(t/T),
F(T) = N0*Log(2)*f(T)*g(T)とすると、
(1)式は次のようになる。

|dN/dt| = F(T) = N0*Log(2)*f(T)*g(T) …(2)

F(T)が増加関数か減少関数か確定できればBqの半減期T依存性が見れる。
この場合、G(T) = f(T)*g(T)を満たす関数Gにおける導関数の正負を論ずればよい。
そこで、微分のチェーンルールより、

dG(T)/dT = f(T)*dg/dT + g(T)*df(T)/dT …(3)

が成り立つ。したがって、(4)式を項ごとに計算すると次式の通りである。

g(T)*df(T)/dT= -g(T)/T^2 …(4)
f(T)*dg(T)/dT = (1/T)*{Log(1/2)}*{(1/2)^(t/T)}*(-t/T^2)
f(T)*dg(T)/dT = (0.69314*t/T^3)*{(1/2)^(t/T)}
f(T)*dg(T)/dT = 0.69314/T^3*g(T) …(5)

(4)、(5)式から…

dG(T)/dT = g(T)/T^2*{0.69314*t/T - 1}

を導くことができる。この式も放射能の性質を論じるうえでかなり重要である。
次回は、半減期ごとに放射能の強さを予測しよう。それではまた。

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これまでの日記を踏まえたうえで演習問題を2つ用意します。

(1)ヨウ素131が現在XBqあるときに、30日後のBq値Yを計算せよ。ヨウ素131の半減期は8日とする。

(2)セシウム137の半減期は30.2年である。セシウム137が1Bq検出されたとき、
この瞬間におけるセシウム137の重量を求めよ。


皆さま答えがわかりますか?

解説:
(1) 核崩壊方程式の解を考えると、初期のヨウ素量をN0として
30日後のヨウ素131量Nは、次式のようになる。
N = N0*(1/2)^(30/8) ≒ 0.0743*N0…(a)

また、X,Yの満たすべき式はBqの定義より、
X = |dN/dt| = λN0 …(b)
Y = |dN/dt| = 0.0743λN0 = 0.0743X …(c)

となる。この(c)式を見てわかるように…
30日で放射性ヨウ素131は元の量の7.4%程度まで減少することが確認できる。
(2)前回の日記より、1Bqの重量の公式を用いればよい。
W = (M/(λNA)) = MT/(Log(2)NA) = 2.397*10^-24*MT
W = 2.397*10^-24*137*(24*365*3600*30.2) = 3.13× 10^-13

つまり、0.313 ナノグラム程の重量が1Bqのセシウムといえるでしょう。

1Bqの放射性物質がものすごく小さいということを理解できれば幸いです。
それではまた。

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問題:原子量M(g/mol)、半減期T(sec)の物質がt = 0 で1Bqだとする。この放射性物質の質量W(g)を計算せよ。(ただし、物質の総数をN0、アボガドロ数をNA、とする。)

解答:N個の放射性物質のもつBqは、前回の日記(ベクレルの厳密な意味)より
|dN/dt| = λN    …(1) 
と書き表すことができる。したがって、核崩壊方程式の解((核崩壊方程式を解こう。参考)を代入すると、
|dN/dt| = λ(N0*(1/2)^(t/T))  …(2)
となる。初期条件より、t = 0のとき、1Bqなので
|dN/dt| = λ*N0 = 1   …(3)
と書き表すことが可能である。一方、原子量の定義より
W = (N0/NA)*M   …(4) 
は自明である。したがって、(3)を(4)に代入すると
W = (M/(λNA)) = MT/(Log(2)NA) = 2.397*10^-24*MT…(5)

のように式変形できる。この(5)式こそが、
放射性物質のBqと重量を換算するための理論式だといえる。
※Tを秒ではなく、時間で考えると↓のサイトの式になる。
(5)に3600をかけると↓のサイトの式とも一致しているので、(5)式は正しいだろう

http://radi-info.com/q-1111/

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前回の日記(核崩壊方程式を解こう。)では放射性物質が放射線を出して減少していく挙動を一般化しました。

今回は、Bqとは何かについて解説します。結論から申し上げましょう。

単位時間に1個の放射性物質が核壊変したら1Bqです。

つまり、1秒間に何個放射性物質が減ったかを表す量がBqなのです。

よって、N個の放射性物質のもつベクレルの値は、|dN/dt| と一致します。

この量をみてわかるように、あくまで放射線がでる勢いしか表していないのです。

放射線の場合、種類や距離によって浴びた場合のリスクは異なりますので、

生物影響を必ずしも反映しない量だといえます。

また、この事実をしると、1Bqの放射性セシウムがどの程度の重さかわかるでしょう。

次回の記事では、代表的な放射性物質の重さを計算しようと思います。

それではまた…

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近年騒がれている放射線問題を理解するために、原子物理学の基礎を解説しようと思います。原子物理学で避けて通れない概念のひとつに核崩壊方程式がありますので、この日記では、核崩壊方程式の解説をします。

はじめに、放射性物質は放射線を出しながらその個数を減らしていく性質があります。したがって、一般的に放射性物質の個数をN、時間をtとすると、Nはtの関数であらわすことができるのです。このtの関数をN = f(t)としましょう。

さらに、放射性物質が単位時間あたりに変化する量dN/dtは次式であらわせます。

dN/dt = -λN …(1)

λは定数を表しています。この方程式が有名な核崩壊方程式です。この式からN = f(t)を解析できれば放射性物質量の時間変化を予言することが可能です。これは、大学数学で習う変数分離型微分方程式の知識が必要となります。詳細は、こちらのサイトをお読みください。変数分離を行い、積分を行うと

dN/dt = -λN
dN/N = -λdt
∫dN/N = -λ∫dt + C
Log(N) = -λt + C …(2)※Cは積分定数

のようになります。しかし、この式だけではまだよくわかりませんよね。そこで、Cやλを具体的に決定するために次のような初期条件を定めてみましょう。

t = 0 のとき N = N0    ※N0は定数。…(3)
t = T のとき N = (1/2)N0 ※Tを半減期という。…(4)

このような条件を定めてやれば、面白い解が得られます。

(2)に(3)を代入すると、Cの値が次のように求められます。
Log(N0) = ‐λ×0 +C ∴ C = Log(N0) …(5)

また、(2)に(4)、(5)を代入するとλが次のように決定されます。
Log(N0/2) = ‐λT+Log(N0) 
-λT = Log(1/2) = -Log(2)
λ = Log(2)/T …(6)

そこで、(6)をさらに(2)式に代入しましょう。
Log(N) = -(Log(2))t/T + Log(N0)
Log(N/N0) = (t/T)*Log(1/2)
N = N0 * (1/2)^(t/T) …(7)

よりすっきりした式が得られましたね。N = f(t)の形になりました。
この(7)式を用いて放射線物質を考察することが基本となります。

それではまた。

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